人気ブログランキング | 話題のタグを見る
keiaブログ
keiablog.exblog.jp
Top
2015年 05月 04日
■ つまらないこだわりと業界(長文)

皆さんGW楽しんでますか?

私は連休明け早々納品予定の仕事を済ませ、本日はようやくGWスタートですが

お婆ちゃんが危篤で、どこにも出かけられない状態 orz

そんなんで自宅でウダウダしています(-_-)


仕事もいよいよ形態が変わる月に来ているのですが、なかなか事が進まず不安になることもしばしば・・・

今の取引先も今月末で終了予定なのですが、ここにきて嫌になることばかり困っています。


先日も、あるブランドのパーツを制作する依頼がきました。

それは0.7mmの丸線で、内径縦4mm、横3mmのオーバルかんを作るというもの・・・。


事前に検品が厳しいとは聞いていたのですが、いかんせん制作過程の色々を知らな過ぎる無理な要求と

客先のブランドと、制作側をつなぐ取引先の問屋の無知な体制に嫌気がさしました orz


詳しく話しても分らないかもしれませんが、およそこの大きさのオーバルかんを制作する時に

芯金に丸線を巻き付け、バーナーでナマシた後、糸鋸で切り、つなぎ目のバリを磁気バレルで取り、つなぎ目をロー付し

やっとこでオーバルになるよう制作していきます。


取引先から頂いた指示書には、外径4.9mmで内径縦4mm、3mmのオーバルかんを作れと記載されています。

最初、私はその指示書通りに制作し納品しましたが、径が少し小さいとのことで作り直しになりました。

よくよく考えてみると、なぜ外径が4.9なのか・・・これは、芯金が3.5で、丸線を巻き付けた時に0.7+0.7で1.4mmを

単に足した答えが4.9でと言うもので、糸鋸で切った時のロスを全く考えていないのです。


最初に納品したオーバルは、それでもノギスで測ると、おおよそ4×3になっているので大丈夫かと思っていたのですが

取引先の言うに、デジタルノギスでコンマ二桁まで見るというのです。


コレは手作業では完全に無理な範囲 orz


商品にこだわるのはわかりますが、さすがにそこまでいくとイチャモンレベルです (-_-)

そこで取引先にその事を伝え、デジタルノギスの実寸値、コンマ二桁の予測値などのことを、説明しますが

その窓口になっているのが、パートの女性・・・勿論制作経験者ではありません、

その取引先にも、まともな職人レベルの人間がいないのも問題なのですが、私が制作したものを検品するのが

まともにノギスを使ったことが無い、パートの主婦なんですから話になりません (-_-;


もっと問題なのが、客先から仕事を委託される営業が、制作側に仕事を丸投げで

そのオーバルかんがどこのパーツになるのか、内径に関しても、どうして細かい数値まで求めるのかが理解できていないのです。


コンマ一桁、二桁目などは、測り方によっても変わりますし、同じものを十回測っても、違う数値が出てきます。

見た目で言うと、横にいくつかオーバルかんを並べ、どれが大き目で、どれが小さいか、どれが正確かは全くわかりません。


それに、納品段階で正確な径で納品したとしても、その後何工程かの仕上げ処理により、地金が減るので

外径は小さく、内径は大きくなるのです。


私に正確な径を求めるのは良いのですが、その後どのような処理をするのか?

その処理をすることにより、径がどうなるのかを全く分かっていない取引先のパートの主婦をあいてにするのに

ほとほと疲れてしまいました。


デジタルノギスは便利かもしれませんが、測る人によって変わってしまうもの

何度測ってもコンマ二桁目まで希望通りの径になるのは無理な話なのです。


二回目の納品でも、取引先では検品OKで、客先でいくつかのNGが出たらしく、NG分は再制作・・・

私としては再制作分も工賃は頂けるので、ありがたいのですが、仕事していて何だか楽しくありません。


これは珍しい話ではなく、特に有名ブランドの商品を制作する場合にはよくある話なのです。

こだわりのあるモノ作りは嫌いではありません、むしろ大歓迎ですし、仕事していて楽しいのですが

今回のような不条理なこだわりはわけがわかりません(-_-)


そのコンマいくつの径の違いで、最終的にそれを身につけるエンドユーザーが購入するかしないのかを決めるものなのか?

ブランドだけが満足して、それがお客様に伝わらないこだわりは、果たして本当のこだわりなのか?


どうなんでしょう?


むしろ言わせていただくなら、エンドユーザーの気持ちになって

求めているモノ作りに対する企画、発案、その上に制作側のこだわりがあって商品が作られるのがセオリーなのではないでしょうか?


ブランドだけが誰も知る由もない、どうでもいいこだわりに固執し

それを無意味だとわかっていながら、ブランド側に補足説明などがまともにできない営業とは名ばかりのルートセールスが

自社に帰り、私たちに仕事を出している・・・・・コレでは物事が上手く進まないのも納得です(-_-)


私の地元にある、有名なお菓子メーカーでは

有名な大学を出た新入社員を、まずお菓子を作る工場のラインに数年配属すると聞きました。

勿論地元のおばちゃんが大勢働く、お菓子作りのラインの末端です。


新卒者の中には、その扱いに不満を感じて退社していく者もいると聞きました、

そう・・・大学を出て就職をしたのに、スーツを着てデスクワークかと思えば、いきなりパートアルバイトのおばちゃん達と一緒に

衛生服を着て、一日中ケーキつくりですから、想い描いていた社会人の理想とは程遠いものでしょう。


ですが、やがてお菓子作りメーカーとして、営業に出たり、働く人を管理する日が来るのです。

そのお菓子がどのような過程で作られるのか、それを作る時に、どんなことに苦労するのか?

お菓子作りの最初から最後まで見て体験した者にとって、やがて営業や管理する立場になった時に

お菓子作りのラインにいた時の経験や知識が何よりも心強い後ろ盾になっているのです。


話がだいぶそれましたが・・・。


これが貴金属の世界では全くできていません。

ブランドの商品は、海外の工場で作られていると思っている人が沢山いるでしょう、

あの有名ブランドも、ニューヨークで作っていると思っていた人も少なくないはずですw

整備された工場で、何人もの従事者がいて作られていると思っていたら大間違いです

こんな田舎のオッサンが一生懸命作っているのですw


ブランドも問屋にデザインを投げた後、地金を使い問屋の工場でモノ作りをしているものと考えているんでしょう、

いえいえ実際は、その問屋の外注である私たちが、デスクに向かい制作し納品しているのです。


ブランドも問屋の営業も、商品を企画し、モノにして売って仕事になっているわけですから

制作する段階に興味を持ち、売っているのがどのように形作られているのかに理解を示してほしいものです。


また、そのことを理解し、自社の立派な工場に観光客を呼び込み、制作段階を見学させた後

商品を販売している会社もありますが、その会社も工場ではそれほどの生産力は無く

やはり外注に生産を委託しているのです。


貴金属の世界は落ち込んでいます、その原因がナゼなのかは誰も分りませんが

私が思うに、消費者側になって物事が考えられていないのが一番の原因なのではないかと思います。


逆にいうと、農業などは数年前とはだいぶ変わりましたね

何処の産地で、誰が作って、どんなこだわりでその農作物ができたのかが分かり、それを知った上で安心して買うことができる。


山梨の地場産業である貴金属も、衰退の一途をたどらず

もう少し何とかならないものかと…。


暇なのでそんなことを考えていました。




ノシ

------------------------------------------------------------------------------------------